本記事は、YouTube動画『Liquidity & Inducement Trap — Why Your Trades Always Get Stopped Out』の内容を基に構成しています。
多くのトレーダーが「完璧だと思ったエントリー」で、なぜか直前で損切りにかかり、その後に思惑通りの方向へ価格が動くという経験をしています。
本記事では、その原因となっている「Liquidity Trap(流動性トラップ)」と「Inducement(誘導)」について、初心者にも理解できるよう丁寧に解説します。
Contents
なぜ正しいはずのトレードが毎回止められるのか
トレードを続けていると、「エントリーした瞬間に逆行し、損切りにかかった直後に価格が伸びていく」という不可解な動きを何度も目にします。
この現象は偶然ではなく、市場構造そのものに組み込まれた仕組みによって起こっています。
この原因は「Liquidity Trap」と「Inducement」という概念です。
これらを理解できていないと、どれほど綺麗なチャートパターンを見つけても、常にスマートマネーの反対側で取引してしまうことになります。
スマートマネーと流動性の関係
市場で大きなポジションを動かす機関投資家やプロトレーダー、いわゆるスマートマネーは、個人トレーダーとは根本的に立場が異なります。
彼らは常に「流動性」を必要としています。
大きな注文を成立させるには、その反対側に十分な注文が存在しなければなりません。
そのため、スマートマネーは個人トレーダーを意図的に「間違った方向」へ誘導し、損切り注文を大量に発生させます。

この誘導行為こそがInducementであり、その結果として発生する損切りの溜まり場がLiquidity Trapです。
Inducementとは何か
Inducementとは、簡単に言えば「トレーダーを罠にかけるための偽のセットアップ」です。
市場は、あたかも正しいエントリーポイントであるかのように見える動きを作り出し、トレーダーを早すぎるエントリー、もしくは逆方向のエントリーへと誘導します。
具体的には以下のような形で現れます。
- 一見すると有効に見えるブレイクアウト
- フェイクの反転(偽のCHoCH)
- 綺麗すぎる小さなオーダーブロック
- FVGを埋めたように見えるが実際には未到達
- 等高値、等安値の直前での動き

これらの後、価格は反転し、損切りを巻き取った上で本来の方向へ動き始めます。
構造的Inducement(Structural Inducement)
偽のBOSが作られる仕組み
最も重要なInducementが、構造の中で起こるStructural Inducementです。
これは、BOSやCHoCHのように見える動きが、実は「本物ではない」ケースを指します。

例えば、上昇トレンド中に高値を更新し、ローソク足が明確にクローズした場合、多くのトレーダーはそれを正当なBOS(トレンド方向のブレイク)と認識します。
そして、その起点となったオーダーブロックや需要ゾーンでの買いを狙います。

しかし、このとき価格が直前のインパルスに対して50%以上の押しを作っていなかった場合、そのBOSは成立していません。
割安ゾーンに存在する本当の買い注文がまだ入っていないためです。
その結果、価格は一度上に見せかけた後、必ずディスカウントゾーンまで戻り、早期に入った買い手の損切りを回収してから本当の上昇が始まります。
偽のCHoCHに騙される下落トレンドの例
下落トレンド中に、直近高値を上抜けてクローズする動きが出ると、多くのトレーダーはトレンド転換だと判断します。

FVGやオーダーブロックでのロングを探し始める典型的な場面です。
しかし、この上昇がプレミアムゾーンに到達していない場合、それは単なる調整に過ぎません。
実際には、下落途中で未約定の売り注文を発動させるための動きであり、買い手を誘導するためのInducementです。
結果として、早期のロングは全て刈られ、価格は本来の下落方向へ強く進行します。
流動性ベースのInducement(Liquidity Based Inducement)
小さな高値・安値が作られる理由

Liquidity Based Inducementは、市場で最も頻繁に見られる形です。
価格は本来のPOIへ向かう前に、意図的に小さな高値や安値を作ります。
これにより、
・押し目買い、戻り売りを急ぐトレーダー
が早期にエントリーし、非常に分かりやすい位置に損切りを置くことになります。これらの損切りが、スマートマネーにとっての「燃料」となります。
FVG直前に作られるマイクロ安値の罠

この画像は、日足の強い需要ゾーンから反転した後、1時間足のFVGへ向かう場面です。
このとき、価格は一度FVGに触れたように見せかけ、すぐに反転して新しい安値を作ります。
この小さな安値により、多くのトレーダーは「もうFVGは埋められた」と誤解し、早期にロングを仕掛けます。そして損切りをその直下に置きます。
しかしその後、価格はさらに下落し、その安値をスイープしてから本来のFVGに到達し、強い上昇を開始します。

偽のCHoCHと小さなオーダーブロックの組み合わせ

Inducementは単独ではなく、複数の要素が同時に出現することもあります。
・等高値、等安値
・極端に小さく綺麗なオーダーブロック
これらが重なると、非常に多くのトレーダーが「ここだ」と判断します。しかし、そのオーダーブロック自体がInducementであり、本当のPOIはさらに奥に存在します。
なぜInducementなしではFVGは機能しないのか?
価格が直接FVGに到達した場合、十分な流動性が存在しないため、反転が弱くなります。
スマートマネーは、必ずその前段階でInducementを作り、損切り注文を溜めてからFVGに到達させます。
Inducementは、FVGからの強い反応を生み出すために不可欠な準備工程なのです。
時間帯によるInducement(Time Based Inducement)

Time Based Inducementは、ロンドン市場やニューヨーク市場の開始前後に発生します。
この時間帯は流動性が急増し、個人トレーダーの参加も一気に増えます。
スマートマネーはこの瞬間を利用し、意図的にフェイクムーブを作ります。
この一連の流れが、Time Based Inducementです。
まとめ
Liquidity TrapとInducementは、トレードがうまくいかない原因の核心部分です。
市場は常に個人トレーダーを間違った方向へ誘導し、その損切りを利用して本来の動きを実現しています。
重要なのは、
・綺麗すぎる動きを疑うこと
・Inducementの存在を前提にPOIを待つこと
「綺麗なセットアップの直前こそ疑え」という考え方は大事です。
主要なPOIの直前に現れる小さな構造、綺麗すぎる形、急な動きは、ほぼ例外なくInducementです。
これらを意識するだけで、トレードの質は大きく変わります。
今回の動画内容を理解し、Inducementの裏側にある本当の意図を読み取れるようになれば、あなたは確実にスマートマネー側に近づくことができるでしょう。








