本記事は、YouTube動画『The “First Candle Rule” Is The Easiest Way To Make F*ck You Money』の内容を基に構成しています。
トレードの世界では、「シンプルに勝てる方法は存在しない」「複雑な分析を極めないと利益は出ない」といった考え方が半ば常識のように語られています。
しかし今回は常識を真正面から否定するような、極めて単純な手法が紹介します。
それが「First Candle Rule」と呼ばれる考え方です。
動画の主張は明確です。多くのトレーダーが勝てない理由は、能力不足でも努力不足でもなく、「考えすぎ」と「情報過多」によって自滅しているからだという点にあります。
本記事では、このFirst Candle Ruleの背景思想から具体的なトレード手順、そしてなぜこの手法が初心者ほど有効なのかを、順を追って詳しく解説していきます。
Contents
なぜ多くのトレーダーは「大負けしないのに勝てない」のか
よく知られている統計として「トレーダーの大半は最初の90日で資金を失う」という話があります。
ただし、この層は「トレーダーですらないギャンブラー」です。
本当に問題なのは、いわゆる“サイレント・マジョリティ”と呼ばれる層です。
この層は、資金を一気に失うことはありませんが、かといって継続的に増やすこともできません。
小さな勝ちと小さな負けを繰り返し、結果として口座残高はほぼ横ばい、もしくは徐々に減っていくという状態に陥ります。
この状態にあるトレーダーは、決して怠けているわけでも、知識が不足しているわけでもありません。
むしろ勉強熱心で、多くの手法やインジケーターを学んできた人ほど、この罠にはまりやすいのです。
トレードを破壊する「3つの恐怖」とララパルーザ効果
動画の中核となる考え方が、チャーリー・マンガーが提唱した「ララパルーザ効果」です。
これは、人が失敗するときは単一の原因ではなく、複数の心理バイアスが同時に作用することで致命的な判断ミスを犯す、という概念です。
トレードにおいて特に問題となるのが、次の3つの恐怖です。
資金を失うことへの恐怖
チャンスを逃すことへの恐怖(FOMO)
痛みや後悔を避けたいという欲求
これらは別々に存在するのではなく、同時にトレーダーの判断を乗っ取ります。
その結果、利益が伸びそうな場面で早く利確してしまったり、すでに動いた相場を追いかけて無謀なエントリーをしたり、冷静さを失った連続トレードに走ってしまうのです。
動画では、この3つの恐怖を一気に引き起こす最大の要因として「チャートの見すぎ」「手法の詰め込みすぎ」が挙げられています。
インジケーター過多がトレードを壊す理由
多くのトレーダーは、「分析精度を高めるため」という名目で、チャートに大量のインジケーターやラインを表示します。
複数の指標が同時に異なるシグナルを出すことで、脳は処理能力を超えた状態になります。
その結果、「今入るべきか」「いや待つべきか」と迷い続け、最終的には最悪のタイミングで行動してしまうのです。
ここで提示される解決策が、判断材料を極限まで削ぎ落とすという考え方です。
そして、その究極形として紹介されるのがFirst Candle Ruleです。
First Candle Ruleとは何か
First Candle Ruleとは、マーケット開始直後の「最初の5分足」だけを基準に、その日のトレード判断を行う極めてシンプルなルールです。
この手法の目的は、トレード時間を90分以内に限定し、毎日同じ条件・同じ手順で淡々とトレードを行うことにあります。
相場の解釈を排除し、ルールに従って実行するだけの状態を作ることで、感情や迷いを完全に排除します。
ステップ1:9時30分の最初の5分足を基準にする
最初のステップは非常に単純です。
米国市場の場合、9時30分ESTのマーケットオープンと同時に、5分足チャートを表示します。
そして、その最初の5分足の高値と安値をチャート上に引くだけです。この2本のラインが、その日1日の判断基準になります。先物、株式、FX、暗号資産など、市場の種類は問いません。

この時点で行う作業は、たったこれだけです。
ステップ2:1分足でレンジブレイクを待つ
次にチャートを1分足に切り替え、先ほど引いた高値・安値のラインを価格が明確に抜けるのを待ちます。
重要なのは、単なるヒゲではなく「勢いのあるブレイク」であることです。エネルギーを伴った値動きが起きることで、買い手か売り手のどちらが主導権を握ったのかを即座に判断できます。

この段階でも、予測や裁量は不要です。ただ条件が揃うのを待ちます。
ステップ3:フェアバリューギャップを使ったエントリー
エントリーのトリガーとして使われるのが、フェアバリューギャップです。
これは3本のローソク足によって形成される価格の「隙間」で、一方向への強い支配を示します。
最初の5分足の高値または安値を抜けた後、その方向にフェアバリューギャップが形成された時点で、初めてトレードが成立します。

これにより、「たまたま大きなローソク足が出ただけ」の場面を排除できます。
損切りと利確は固定ルールで決める
First Candle Ruleでは、損切りと利確も完全にルール化されています。
- エントリーは、フェアバリューギャップを確定させたローソク足の終値
- 損切りは、フェアバリューギャップ内の最初のローソク足の高値または安値
- 利確は、リスクリワード2:1の固定設定
この固定ルールにより、「もう少し伸ばそう」「ここで利確すべきか」といった迷いは一切生じません。
すべては事前に決まっており、あとは執行するだけです。
「退屈さ」こそが最大の武器になる理由
動画の中で繰り返し強調されているのが、「この手法は驚くほど退屈だ」という点です。
しかし、9年間マーケットに向き合ってきた経験から、話者は断言します。
大きな資産を作るトレード手法は、例外なく退屈で反復的だということです。刺激的で派手なトレードほど、感情を揺さぶり、ミスを誘発します。
First Candle Ruleは、トレードから感情を排除し、作業に近い状態まで落とし込むための仕組みだと言えます。
まとめ
First Candle Ruleが示している本質は、「勝ち方」そのものではなく、「負ける原因をどう排除するか」という点にあります。
- 複雑な分析、過剰なインジケーター、終わりのない迷い。これらがトレードを難しくしている最大の要因です。
- 判断材料を極限まで削ぎ落とし、毎日同じ時間に同じ手順を繰り返すことで、恐怖・FOMO・感情的判断は自然と消えていきます。
派手さはありませんが、長期的に資金を増やしていくうえで、これ以上に合理的なアプローチは存在しないと言えるでしょう。初心者こそ、一度立ち止まり、この「最初の1本だけを見る」という発想を自分のトレードに取り入れてみる価値があります。







