FX市場では稀に「暴落相場」が発生します。
これは、通常よりも大きなボラティリティを伴って直近のサポレジラインを、まるで存在しなかったかのように無視して下落するような相場のことを言います。
こんな相場で狙う戦略は以下の2つあります。
- 下げていくところをさらに売っていく
- 落ちてきたところで逆に買っていく
今回の記事で紹介するのは、「落ちてきたところを逆に買っていく」戦略です。
正に逆張り中の逆張りです。
そのため、「危険」とか「落ちているナイフを拾いに行くハイリスクなやり方」に思えそうですが、「セリングクライマックス」を狙うことでで勝率を高め大きく獲れるチャンスにすることもできます。
セリングクライマックスが終わると、新規で売りポジションを入れる市場参加者が格段に減るため、必然的に価格が上昇していきます。
今回は、このセリングクライマックス時の市場参加者の心理を解き明かし、その後のプライスアクションを利用した逆張りトレード手法をご紹介します。
Contents
セリングクライマックスとは
セリングクライマックスとは、中長期的な下落相場で起こります。
市場参加者が一気に悲観的になって、大量の売りを出すことで起こる暴落の最後の最後の局面です。
セリングクライマックスの値動きの特徴としては、長く下落が続いた後に生じる少し保合い的な流れから、それを一気に大陰線でブレイクする点にあります。
しかし、それから大きく下げることなく、次の足以降で大きめの陽線が出たり、下ヒゲの長い足が出ることで売りが終了したことを把握できます。
連鎖して発生する売り注文のカラクリ
強い下落は、突然の金融政策の変更や要人発言など、世界の経済環境の変化がトリガーとなって、多くの投資家が悲観的になることで起こります。
短時間の急激な下げを見た投資家が、さらなる売りをすることで、下落が下落を呼ぶのです。
既に買いポジションを持っていた人は、含み損が膨らむためポジションを投げ売りますので、下落に拍車がかかります。そこに新規の売りも出て、さらに下げが加速していくわけです。
これがいわゆる暴落相場の背景です。
売り手がいなくなった後に買い手が出てくる
価格は、売り手と買い手の両方がいて決まります。
売り手が圧倒的に多く、現在の価格で買おうとする人が少なければ、必然的に価格は下がります。
しかし、売りがひと段落して、とりあえず売り手がいなくなると、価格は自然と上昇し始めます。需要と供給の関係ですね。
この小さな戻しによって、暴落の最終局面で売っていた人たちに含み損が出始めます。
含み損が出始めてポジションを解消(つまりはロング)する人たちが増えて価格が上昇すると、さらに新規の買いが入ってきて、価格は急激に反転します。
急激な下げによって売り手が全部売ってしまうと、大底を付けて相場が急反転します。
結果、下げ切ったところで売った人たちは、このパニックに巻き込まれ、大きな損失を被ることになります。
バイイングクライマックスもある
セリングクライマックスという言葉がよく使われていますが、買いの最終局面である「バイイングクライマックス」も当然あります。
こちらの方はあまり使われないものの、株式相場でも為替相場でも見られます。
本記事ではセリクラメインですが、バイクラはその逆と考えてチャートを見て頂ければと思います。
暴落に巻き込まれないためにどうすればいいか
市場と言うものが存在する限り、暴落は必ず起こります。
しかし、それがいつ起こるかはわかりません。
どうすれば暴落に巻き込まれずに済むのでしょうか?
暴落で損をするパターンは次の2つに限られます。
- ロングポジションを持っている時に、暴落で大きな評価損を抱えてしまった
- 暴落中に売りで入り、それからすぐに反転してしまった
多くのトレーダーがこの2つの経験があるのではないでしょうか?
相場の先が見えない以上、この二つを完全に避けることはできませんが、損失を軽減することは可能です。
そのためにも次の2つを意識することが大切です。
- 必ずストップ注文を置くこと
- 押し戻しを待つこと
必ずストップ注文を置くこと
当たり前の話ですが、ストップ注文を置いておくことで、損失を限定することができます。
損失が怖くて動けなくなります。
そして、いつか値が戻るかもしれないという根拠のない期待と自信がが生まれます。
その結果、多くの人がたった1度の大きな損失で市場から退場してしまう羽目になるのです。
そうならないためにも、ストップ注文は起きましょう。
押し戻しを待つこと
どんな相場でも一直線に下がることはありません。
大きな下げ⇒小さな上げ⇒大きな下げ・・・というように波を描きながら下がるのがセオリーです。
これは、相場の性質であり、下落トレンドであれば、適度に買いポジションが消化されながら価格が下落していきます。
ですから、売るのであれば、下げた瞬間ではなく、下げてから少し戻した所で売る一歩引いた視点が必要となります。
パニックに巻き込まれず、大衆の半歩先を客観的に見ることが大切なのです。
他の市場参加者が絶望や恐怖を感じている暴落を、一歩引いて見ることができれば、逆に大きなエッジを得ることができます。。
急激に大きく下げたチャートを見たら、いずれは戻すと考えるべきです。どこまでも売られる相場はありません。
必ず売り手が少なくなる時は来ます。
セリングクライマックスを利用した逆張りトレード手法
長々とセリングクライマックスについて解説してきました。
最後にセリングクライマックスを利用した逆張りトレード手法をご紹介していきます。
やり方としてはプライスアクショントレードです。
まず前提条件は以下の通りです。
- 長く下げている
- 下落の途中で少しレンジ的な動きが生じる
- そのレンジを下にブレイクするがすぐに大きく戻る
重要なのは、レンジをブレイクするも、それが結果的にダマシとなって強く反発している点です。
強い反発があると言うことは、売り手が弱くなり、その一方で機関投資家が買いを入れている可能性が非常に高いです。
特に機関投資家は下げている時にロング、上げている時にショートするのがセオリーですので、ブレイクを誘ってから大量の買いを仕入れるのが得意です。
この流れを確認したら、次は安値トライの失敗を確認します。
底から強く反発したとは言え、底から上げるのは茨の道です。
多くのケースで戻り売りを誘発するため、再度下げることが多いです。
ここで再度安値をトライする動きになりますが、安値を割らずに、安値付近でヒゲを残して反発してきたところでロングを入れます。
これだけです。
とてもシンプルですが、これで高いリスクリワードのトレードになります。
大底を狙うのは難しい
今回の手法で狙うのは、長く続いた下落が底を打ち、反発して再度安値トライが失敗した所で入ります。
トレンド逆張りの中では勝率は高めですが、当然逆行するリスクもあります。こ
の逆行リスクを抑えるために次の2つの方法があります。
- ポジションの保有時間を短くする
- ポジションを積み増す
ポジションの保有時間を短くする
一つ目は、超短期トレードと割り切ってポジション保有時間を短くすることです。
利食いは短期足ベースで設定し、ポジションの保有時間をできるだけ短くすることで、逆行リスクを軽減することができます。
ポジションを積み増す
価格の上昇を見ながら、徐々に買い増していく方法は特にお勧めです。
「とりあえず買ってみる」という打診買いをし、相場が上昇するにつれ、ポジションを積み増していくのです。
上昇を確認しながら、ポジション量を増やしていくので、一番失敗しやすい最初のエントリーのリスクを少なめにしますので、大きな損失にはなりにくく、逆に大きく伸びた時はかなりの利益が見込めます。
まとめ
本記事では、セリングクライマックスの基礎知識から、暴落後の逆張りトレード手法をご紹介してきました。
暴落は、投資家にとってはネガティブなイメージがありますが、動きとしては結構シンプルで、一歩引いて見ることができれば、大きなチャンスとなります。
パニックになる側ではなく、パニックの動きを利用する側になることです。そうすることで、あなたは大切な資産を守り、逆にその資産を大きく増やすことができます。
今回ご紹介した手法を、あなたの手札の一つに加えていただければと思います。