FXや株、仮想通貨など、あらゆるトレード界隈でよく聞く言葉があります。
それが、
「1回の負けを3回分で取り返せるのがプロ」
という考え方です。
一見すると正しく聞こえます。
33%の勝率でも勝てるという魔法のような話に見えるからです。
しかし、今回のご紹介する動画はその前提を真っ向から否定します。
結論から言うと、多くの個人トレーダーにとっては、3:1よりも1:1の方が“現実的に”利益が出やすいという話です。
これは精神論ではなく、市場の性質、個人トレーダーの精度、人間の心理を踏まえた、かなり現実的な話です。
Contents
なぜ多くのトレーダーは「3:1」に憧れてしまうのか?
SNSやYouTubeを見ていると、こんなフレーズをよく見かけます。
「勝率33%で勝てる最強の手法」
理論上は正しいです。
数学的には、3:1で25%以上勝てればプラスになります。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
それは、「3:1を安定して取れる前提」になっていることです。
3:1が現実では機能しにくい理由
3:1を達成するためには、次のどちらかが必要です。
・極めて精密なエントリーができる
ところが、ほとんどの個人トレーダーは、
・押し目買い/戻り売り
・サポレジ反転
といった「反応(リアクション)」を狙うトレードをしています。
ここで重要なのが、反応は頻繁に起きるが、トレンドは頻繁には起きないという事実です。
典型的な3:1トレードの失敗パターン
多くの人が、こんな経験をしています。
- ・エントリー後、価格は順調に伸びる
- ・1:1にはすぐ到達する
- ・「3:1まで待つ」と決めているので利確しない
- ・途中で戻されて建値決済、もしくは損切り
そして心の中でこう思います。
「なんで利確しなかったんだ…」
これが何度も続くと、
・利確できないストレス
・自信の喪失
が蓄積していきます。
1:1に変えただけで安定し始めたトレーダーの話
動画内では、こんな例が紹介されます。
3:1に固執していたトレーダーが、エントリーも手法も変えず、利確だけを1:1に変更しました。
するとどうなったか。
- 勝率はほぼそのまま
- 資金曲線が右肩上がりに変化
- メンタルが安定
- トレードが雑にならなくなった
重要なのは、手法が優秀になったわけでも、才能が開花したわけでもないという点です。
ただ、市場が実際に与えてくれる値幅に合わせただけなのです。
なぜ1:1は個人トレーダーと相性がいいのか?
理由① 市場は「1:1」を頻繁にくれる
多くのエントリーは、
・流動性
・短期的な歪み
を根拠にしています。
これらは、
・短期の戻し
を起こすには十分ですが、3倍伸びる保証はありません。
つまり、
・3:1=「トレンド」
を要求している、という違いがあります。
理由② メンタルが劇的に安定する
1:1にすると、
・「正解だった」感覚が積み上がる
・次のトレードを冷静に見られる
逆に3:1狙いだと、
・利確できない
・感情的になる
という状態に陥りやすいです。
トレードは数学ではなく、人間がやる作業という点を忘れてはいけません。
理由③ 多くの個人手法の勝率は「45〜60%」
現実的に見ると、多くの個人トレーダーの勝率は、
・50%
・55%
このレンジに収まります。
この勝率で考えると、
・3:1 → そもそも届かない
というケースが非常に多いのです。
数字で比較してみる
1:1の場合
6勝4敗
・勝ち:+6R
・負け:-4R
→ +2R
3:1の場合(現実的な想定)
6回は一時的に1:1に到達
そのうち3:1まで行くのは2回だけ
・勝ち:2 × 3R = +6R
・負け:4 × -1R = -4R
・残り4回:建値 or 感情的ミス
理論上は勝っていても、実際のメンタルと執行では崩れやすいのが3:1です。
「じゃあ大きく取るのは間違いなのか?」
答えは NO です。
動画では、現実的な折衷案も提示されています。
実践的なやり方
・一部だけポジションを残す(ランナー)
こうすることで、
・伸びたらボーナス
・伸びなくても勝ち
という構造になります。
これは、「先に給料をもらって、後でオプションを狙う」という、プロが好む考え方です。
最後に:一番良いリスクリワードとは?
最も重要なメッセージはこれです。
一番良いRRとは、数字が大きいRRではない「あなたが一貫して実行できるRR」だ
多くの個人トレーダーにとって、
・3:1はカッコいい
かもしれません。
しかし、稼げるかどうかと、カッコいいかどうかは別問題です。
まとめ
- 3:1は理論上は正しいが、現実では難易度が高い
- 多くの個人トレーダーは「反応」を取っている
- 市場は1:1を頻繁に提供している
- 1:1は勝率・メンタル・再現性と相性が良い
- まずは1:1で安定させることが土台になる
「大きく取る」前に、「安定して取る」こと。
ここを見直すだけで、トレード人生が大きく変わる人は本当に多いです。








