本記事は、YouTube動画『The Best Trading Psychology TRAINING On The Internet』の内容を基に構成しています。
トレードでお金を失う原因は、相場そのものではなく「感情による意思決定」にある、というのが大前提です。
負けの多くは、恐怖、欲、FOMO、希望、苛立ち、過信、後悔、焦り、疑いといった感情が、ルールや手順を上書きしてしまうことで起きます。
では、感情を消せばいいのかというと、そうではありません。
感情は消せません。善悪でもありません。
人間として自然に出る反応であり、問題は感情そのものではなく「感情に操られて行動がズレること」です。
感情を精神論で抑え込むことは健全ではありません。
感情を分解し、定義し直し、運用ルールに変換して、トレードの中で武器にすることです。
言い換えると、感情を見える化し、再現性のある行動に落とし込み、相場での自己破壊を止めるトレーニングです。
Contents
なぜトレードの負けは「感情」から始まるのか
負ける行動の正体は、目標に近づく行為か、遠ざかる行為です。
たとえば連敗後にリベンジトレードをする。これは「損失を取り戻したい」という行動です。
では、その行動を動かすものは何か。
それは「痛み」です。
連敗すると、人は状況を必要以上に悲観します。
「自分は下手だ、取り戻せないと生活できない、終わった」などと頭の中で最悪の未来を膨らませます。
ここで発生しているのが心理的な痛みです。
そして、この痛みを生む起点が「感情」です。
怒り、恐怖、焦り、悔しさ。これらが痛みを強め、痛みを消したいから行動が乱れ、結果としてルール無視のトレードを重ね、さらに損が増え、さらに痛みが増える。
痛みを避けようとした行動が、未来の痛みを増やすという皮肉な循環が起きます。
この構造を理解すると、対策の方向性が見えます。
感情をなくすのではなく、感情が起きても行動が乱れない仕組みを作る。つまり、感情を運用ルールに変換し、行動を守ることが目的になります。
感情は予測できるし、善悪でもない
感情はランダムではなく「痛みを避けるための反応」です。
たとえば、欲は悪だと思われがちですが、欲は人間を働かせ、生活を作り、進化を促してきた力でもあります。
恐怖も同じで、危険から逃げて生き延びるための機能です。ライオンを見て怖くなるのは正常で、怖くならない方が危ない。感情は良い悪いではなく、ただ存在するものです。
そして決定的なのが、感情は消せないということです。
死んでいるか、極端な例外でない限り、人間は感情を持ちます。
だから感情を消すゲームをやっても勝てない。
勝てないゲームではなく、勝てるゲーム、つまり「感情が出ても破滅しない運用」に切り替えるべきなのです。
恐怖の正体と解決策
恐怖は、エントリー前に出る感情です。
ポジション保有中に怖いのではなく、買いボタン、売りボタンを押す直前に怖くなる。
理由は「未知」への恐れ、つまり不確実性です。
未来が怖い。負けたらどうなる。
こうした不確実性が恐怖を作ります。
恐怖の解決策は大きく3つです。
1つ目は、トレードを事前に計画することです。
チャート分析、準備、リサーチ、ポイントの設定、エントリー条件のチェックリスト化。
準備が整い、価格が狙いのポイントに来たら、条件にチェックを入れて淡々と入る。これで、迷いの余地を減らします。
2つ目は、確信はデータからしか生まれないという考え方です。
十分な反復がないなら、自信がなくて当然で、自信を持つ資格がない。
恐怖で固まるのは、戦略の証拠が不足しているからです。ここで出てくるのが「最低でも100回」という目安です。
100トレード程度のサンプルで検証しないと、確率のゲームとしての自信が作れない。恐怖の多くは、能力不足というより、証拠不足が原因だという見立てです。
3つ目は、不確実性を受け入れることです。
トレードは確実性のゲームではなく確率のゲームです。
次の1回が当たるかは分からないが、長期の期待値で勝てるなら、淡々と繰り返せる。
たとえば勝率40%でも、勝ちの利益が負けより大きい非対称のリスクリワードなら、トータルで増える。
連敗は統計的に起きる前提で、そこで何をするかが素人とプロを分けるのです。
面白い例として、コイン投げを100回行うと、7回連続で表か裏が出る確率が約54%もあります。
つまり連敗は珍しくない。連敗が出たときに慌ててルールを壊す人は沈み、計画通りに執行する人は生き残る、という結論につながります。
欲の正体と解決策
欲は、単に稼ぎたい気持ちではなく「自分のエッジが許す以上に押し込むこと」と定義されます。
結果を追いすぎると、プロセスを破壊します。
トレーダーの目標はお金ではなく、最良のトレードをすること。お金は結果としてついてきます。
欲が暴走すると、次のような行動が出ます。
- 勝ちが続いたからもっと取れるはずだと考えて、トレード回数が増える。
- ロットを上げる
- 質の低いセットアップにも手を出す。
- 最初の小さなズレが連鎖して、利益を全て吐き出す。
解決策として提示されるのは次の3つです。
1つ目は、目標の設定です。
日次や週次、月次で利益目標を決め、達成したら止める。
たとえば月5%を現実的な目標にして、1週目で達成したら残りは取引しない。これにより、勝っているときの自己破壊を止めます。
2つ目は、取引時間帯を1つに絞ることです。
アジア、ロンドン、ニューヨークと全部やって、最後のニューヨークで全部溶かす例があります。
16時間チャートを見ても、努力量で稼げるわけではない。稼ぐのは意思決定の質だ、という教訓です。
3つ目は、成功の定義を変えることです。
成功を「稼ぐこと」ではなく「ルールを迷いなく執行できる熟練者になること」と置く。
毎日1%改善することが長期で複利になる。1%は小さく見えても、資金が大きくなると意味が大きい。100ドルの1%は1ドルでも、100万ドルの1%は10000ドルになる。だから今はスキルに投資しろという考えです。
FOMOの正体と解決策
FOMOは、チャンスが消える怖さから、遅いタイミングで追いかけてしまう状態です。
勢いの大陽線を見て飛び乗り、結果として天井付近で掴み、深い押し戻しに捕まる・・・。
解決策はシンプルです。
準備していなかったなら、それは存在しない。自分のトレードではない。
チャートを見ていなかった時間に出たチャンスは、自分の責任ではない。
だから後悔して追いかけるな、という考え方です。
一方で、トレードセッションを決めて、その時間に見ていたのに入らなかったなら、それは恐怖の問題だとも言います。
つまりFOMOの前に恐怖を直せ、という順序です。
希望の正体と解決策
希望は、責任を運に外注すること、と定義されます。
神頼み、ラッキー頼み、たまたま戻るはずだ、という心理です。
人は負けているときに希望を持ち、勝っているときに恐怖を持つ傾向があります。
負けているときにストップを動かしたり、損を確定したくない痛みから逃げたりする。これは「損失を受け入れる痛み」を避ける行動です。
解決策は2つです。
1つ目は、損失の再定義です。
損失を、口座を壊す証拠ではなく、学びを得る材料と見る。
損失は泥に埋まったダイヤです。
反省と検証で泥を落とすと、教訓というダイヤが残る。
損は悪ではなく、ビジネスコストだと受け入れられると、希望に逃げなくなる、という論理です。
2つ目は、ハードストップの徹底です。
ストップに到達したら必ず切る。
どんなに自信があっても必ずストップを置く。
突然の大口売りなど、何でも起こり得るからです。
希望は、ストップ不在やストップ移動と結びついて破滅を呼ぶ、という警告でもあります。
フラストレーションとリベンジの正体と解決策
フラストレーションは「期待と現実の不一致」です。
上がると思ったのに下がる。そこで現実を受け入れず、相場に自分の意志を押し付けようとして、強引なエントリーを繰り返す。
下落トレンドなのにロングを繰り返して燃える。根底には、間違いを認めたくない自我があるからです。
解決策として提示されるのは次の2つです。
1つ目は休むことです。
2連敗したら休む。冷静さを取り戻すまでPCを閉じる。
散歩、瞑想、日記、運動などで心拍が落ち着くまで離れる。
感情の状態で相場を見ても、見えているのは相場ではなく自分の偏見になるため、まずはメンタルをフラットにします。
2つ目は、期待と現実のギャップを記録することです。
どの状況でズレが起きたのかを書く。
ニュース後、ニューヨーク時間、FOMC、NFPなど、特定の条件でズレが起きるなら、そこに再現パターンがある。
気づけないものは改善できない。ジャーナルで気づきを作れ、という流れです。
リベンジについては、フラストレーションと同じカテゴリとして扱われます。
ただ1点、追加される視点があります。
それは、相場に仕返しするのではなく、相場が教えていることを抽出しろ、という考え方です。
止められたなら止められる理由がある。市場は自分の性格や規律を映す鏡で、人格の成長が損益に反映される、というメッセージです。
さらに実務的な提案として「10分バッファ」が出ます。負けた直後に次の試合へ行くゲームと同じで、同じ感情のまま次へ行くと荒れる。
10分だけ振り返り、何が悪かったかを確認してから戻る。
過信の正体と解決策
過信は、過去の成功でリスクを過小評価すること、と定義されます。
5連勝したから次もいける、ルールを見なくてもいける、ロットを上げてもいける。
そこで5%を一発で落として、1%ずつ積んだ利益を全部飛ばす。これはよくある破滅パターンとして描写されます。
解決策は次の2つです。
1つ目は、リスクを一定にすることです。
勝っても負けても、常に同じ率をリスクにさらす。
初心者なら、3連勝したら逆にサイズを下げろ、という提案もあります。勝っているときほど慢心が出るからです。
2つ目は、アカウンタビリティパートナーを持つことです。
自分の盲点は自分では見えません。規律を外しそうなときに止めてくれる存在を持つ。友人でも家族でもよい。行動を客観視する仕組みとして推奨されます。
後悔の正体と解決策
後悔は、現在ではなく過去に生きること、と定義されます。
入っていれば取れた、利確しなければ伸びた。
これは「結果を見た後の視点」で自分を裁く行為で、前向きな意思決定を奪います。
ここで動画が紹介するのが「アウェアネスエクササイズ」です。
後悔を減らすのは、未来を予測する能力ではなく、感情が動く瞬間を早期検知する能力だ、という発想です。
やり方は次の通りです。
トレードの前後、できればボタンを押す直前直後に、思考、感情、行動を全て書く。
怒り、焦り、復讐心。頭の中の言葉。体の動き。机を叩く、髪を触る、貧乏ゆすりなど、無意識の癖も書く。
さらに踏み込むなら、スマホのインカメで自分を録画し、表情や動きを見返す。
プロがテープを見返すように、自分の感情の兆候を客観視する。
これを続けると、無意識が暴走する前に気づけるようになり、後悔ではなく先読みの制御ができるようになる、という説明です。
焦りの正体と解決策
焦りは、退屈の痛みを避けるために、無理に動きを欲しがる状態です。
- 今日稼ぎたい。
- 今入りたい。
- 条件が揃っていないのに入る。
- 早すぎるエントリーをする。
だが相場で金になるのは、待つことです。
A+セットアップを待つ、TPまで待つ、退屈な時間が利益を生む。
退屈を避けると、利益も避けることになる、という言い方が出ます。
焦りは「エッジを実行するより、動きが欲しい状態」と定義され、対策はチェックリストと事前準備です。
何を待っているのかが明確なら、余計なトレードをしなくなる。量ではなく質。マシンガンではなくスナイパーで打て、という比喩でまとめられます。
プロは1日に何回トレードするかを気にしない。セットアップが出たらやる。
出なければやらない。
回数は制御できないが、待つことと執行は制御できる。という考えです。
疑いの正体と解決策
疑いは、ライブ相場で自分やシステムを疑うことです。
条件を満たしているのに入れない。戦略が効くか分からない。タイミングが合っているか分からない。
疑いは無能さから来る。
正確には、十分な反復と証拠がない状態から来る。
歯磨きに疑いがないのは、反復で第二の習慣になっているから。
トレードも同じで、十分な回数をやれば疑いは静まる。
また、疑いは自分との約束を破っている状態からも生まれます。
ジャーナルを書くと決めたのに書かない。
ルールを守ると決めたのに守らない。
自分が自分を信用できないから疑いが強くなる、という説明です。
解決策は2つです。
1つ目は、二択の機械的ルールを作ることです。
これが起きたら入る。起きなければ入らない。曖昧さを排除し、迷いの余地を減らす。
2つ目は、テストを徹底することです。
バックテストでもよいが、とにかく100回規模で検証しろ。
データが確信を作る。誰かの手法を真似るだけでは確信は得られない。
自分の検証で得た数字だけが、疑いを消すのです。








