本記事は、YouTube動画『High-Quality Fair Value Gap Trading Strategy』の内容を基に構成しています。
フェアバリューギャップ(FairValue Gap)は、多くのトレーダーに知られている概念ですが、実際の相場では「どのギャップでも有効に機能するわけではない」という点が重要です。
本記事では、動画の内容に沿って、なぜ高品質なフェアバリューギャップだけを選別する必要があるのか、そしてスマートマネーコンセプトを用いた「FVG in FVG」という実践的なトレード戦略について、初心者にも分かるように丁寧に解説していきます。
Contents
フェアバリューギャップ(FVG)とは何か

まず基本として、フェアバリューギャップとは価格が非効率に動いた結果として生じる「値動きの空白」を指します。
上昇方向のフェアバリューギャップは、最初のローソク足の上ヒゲと3本目のローソク足の下ヒゲの間に生じる価格帯です。
逆に下降方向の場合は、最初のローソク足の下ヒゲと3本目の上ヒゲの間に空白が生まれます。
ローソク足の色や大きさは重要ではなく、どの時間足でも形成されます。
このフェアバリューギャップが示しているのは、買い手と売り手の力関係の偏りです。
上昇のFVGは買い圧力が売り圧力を大きく上回ったことを示し、しばしば機関投資家による大口注文が背景にあります。その結果、価格は効率的なバランスを欠いた動きをし、後にその不均衡を埋めるように戻ってくる傾向があります。
なぜフェアバリューギャップは意識されるのか
スマートマネートレーダーにとって、フェアバリューギャップはチャートを開いた際に最初に注目する要素の1つです。
その理由は、ここが「大きな資金が参入した痕跡」であるためです。
価格が再びこのゾーンに戻ってきたとき、市場参加者の反応が現れやすく、トレードチャンスが生まれます。
具体的には価格がFVGにタッチすると、再び同方向に動いていく傾向が強いです。

この考え方は短期足に限らず、日足のような長期足でも同様に当てはまります。
ただし、日足で形成されるフェアバリューギャップは値幅が大きく、デイトレードには不向きな場合があります。
フェアバリューギャップの精度を高める「リファイン」という考え方
そこで重要になるのが「リファイン」です。
これは、大きな時間足で見つけたフェアバリューギャップを、より小さな時間足に落とし込んで、精度の高いゾーンに絞り込む作業を指します。
例えば、日足で大きなFVGを確認した後、4時間足に切り替えることで、その中に存在するよりタイトなフェアバリューギャップを見つけることができます。

これにより、広すぎる日足のゾーンではなく、現実的なリスクでトレードできる価格帯が明確になります。
このリファインの考え方は、フェアバリューギャップだけでなく、オーダーブロックや需給ゾーンにも応用できる汎用性の高い手法です。
どのフェアバリューギャップを選ぶべきか
チャート上には複数のフェアバリューギャップが存在することがよくあります。
しかし、「すべてをトレード対象にしてはいけません」
ここで使われるのが、値幅の起点と終点にフィボナッチリトレースメントを当てる方法です。
上昇トレンドの場合、50%より下はディスカウントゾーン、上はプレミアムゾーンと考えます。

ロングを狙う場合は、ディスカウントゾーンに位置するFVGのみを対象とします。
これは、早すぎるエントリーが流動性の回収対象になりやすいためです。
また、安値付近でエントリーできれば、ストップロスを直近安値の下に置きやすく、リスクリワードの面でも有利になります。
同様に、ショートの場合はプレミアムゾーンにあるフェアバリューギャップだけを狙います。

これにより、無理のないストップ設定と十分な利益幅を確保できます。
FVG in FVG戦略の全体像
FVGを利用した手法として効果的なのは「フェアバリューギャップ in フェアバリューギャップ」というトレードプランです。
この戦略は、2つの時間足を軸に構成されます。
まず上位足では、市場構造の分析を行います。
トレンド方向、重要な高値安値、流動性の位置、そして高品質なフェアバリューギャップを特定します。

ここでのFVGは「反応が期待できるゾーン」として機能します。
次に、下位足に切り替え、エントリーのための確認作業を行います。原則として、エントリー足は上位足より2段階下の時間足を使用します。
例えば、4時間足を分析に使う場合、エントリーは15分足が推奨されます。
上位足での市場構造分析の重要性
上位足では、ブレイクアウト、リバーサル、流動性スイープといったスマートマネーコンセプトを用いて方向性を判断します。

このチャートでは、ダウントレンドが転換(Choch)してその際に生じたFVGまで戻ってきているところです。
反転前に生じるリクイディティスイープ($)は、価格が一度高値や安値を抜けてストップロスを巻き取った後、すぐに元のレンジに戻る動きです。これが確認できると、反対方向への動きが期待されます。
これらの条件から、このFVGでは価格が反転しやすいと考えることができます。
下位足でのエントリーとリスク管理
価格が上位足で選定したフェアバリューギャップに到達したら、下位足で反転の兆候を待ちます。
具体的には、流動性スイープやチェンジオブキャラクターを確認し、その後に形成される下位足のフェアバリューギャップを利用します。
この下位足のFVGが、エントリータイミングを与えてくれます。エントリーはFVGの始点に指値を置き、ストップロスはその上、もしくは下に設定します。

利確については、まず1対1の位置で半分を決済し、残りは上位足の重要なゾーンまで伸ばします。
フェアバリューギャップの大きさへの対応方法
実際の相場では、非常に小さいFVGや、逆に大きすぎるFVGが形成されることもあります。
小さすぎる場合は、通常の値動きでストップにかかりやすいため、ストップロスを少し広めに設定する工夫が必要です。
一方で大きすぎる場合は、FVGの中央付近でエントリーする、もしくは別の小さなゾーンを基準にストップを設定することで、リスクリワードを改善できます。
まとめ
フェアバリューギャップは強力な概念ですが、無差別に使えばよいものではありません。
本記事で紹介したように、高品質なフェアバリューギャップを選別し、上位足と下位足を組み合わせた「FVG in FVG」戦略を用いることで、トレードの精度は大きく向上します。
方向性の確認、ディスカウントとプレミアムの意識、そして徹底したリスク管理を組み合わせることが、長期的に安定した結果を得るための鍵になります。
本記事の内容を参考に、自分のトレードルールとして落とし込み、検証を重ねていくことが重要です。








