本記事は「"It's a Fallacy" — Real Bank Trader Debates ICT Student」の内容を参考に作成しています。

FXや先物トレーダーの間で絶大な人気を誇る「ICT(Inner Circle Trader)」。

Smart Money Concept(SMC)やFair Value Gap(FVG)、Liquidity Sweepなど、多くの手法の元になっている考え方でもあります。

しかし、その一方で「本当に市場はICTが言うようなアルゴリズムで動いているのか?」という疑問を持つ人も少なくありません。

ICTは市場の動きは全てアルゴリズムで動いており、そのほとんどが分かると豪語しています。

今回紹介する動画では、ICT理論を実践するトレーダーと、実際に金融機関でトレーダーとして働いていた元機関投資家が、このテーマについて本音で議論しています。

非常に興味深い内容だったので、初心者にも分かりやすく整理してみます。

ICTとはどんな考え方なのか?

ICTでは、市場は単なる買い手と売り手の力関係だけで動いているわけではないと考えます。

大口投資家や金融機関が流動性(Liquidity)を集めるために価格を動かしており、その値動きには一定の規則性、つまり「アルゴリズム」が存在すると考えるのがICTの基本思想です。

例えば、

  • 高値・安値を一度狩ってから反転する
  • Fair Value Gap(FVG)まで戻ってから再びトレンド方向へ動く
  • Buy Side LiquidityやSell Side Liquidityを取りに行く

といった動きは偶然ではなく、何度も繰り返されるパターンだと考えます。

だからこそ、ICTトレーダーは「価格はある程度予測できる」と主張しています。

元機関投資家の意見はまったく違った

これに対して、元機関投資家であるPaul Scott氏は真っ向から反対します。

彼の主張は非常にシンプルです。

「市場全体を動かす巨大なアルゴリズムなど存在しない。」

確かに銀行ではアルゴリズム取引を利用しています。

しかし、それはあくまで注文を自動で執行するためのシステムです。

ニュース発表時には価格が大きく乱れるため、銀行ではこの執行アルゴリズムを停止することも珍しくないそうです。

つまり、「アルゴリズムは存在するが、市場そのものを支配しているわけではない」というのがPaul氏の考えです。

それでもICTトレーダーが勝てる理由

では、もし市場全体がアルゴリズムではないのなら、なぜICTトレーダーは価格をピンポイントで予測できるのでしょうか。

この質問に対し、ICT側は「市場そのものがアルゴリズムだから」と説明します。

銀行が注文執行アルゴリズムを止めても、市場は止まりません。

価格は依然として流動性を取りに行き、FVGやLiquidityを意識して動いていきます。

そのため、

  • どこで反転しやすいか
  • どこまで価格が伸びやすいか

を高い精度で予測できるというわけです。

Paul氏は「未来を予測していない」

一方で機関投資家側のPaul氏のトレードスタイルはかなり異なります。

彼は「価格が上がるか下がるかは分からない」と最初から割り切っています。

重要なのは予測ではなく、市場がどちらへ動くのかを確認してから乗ること。

つまり、未来を当てるのではなく、市場が答えを出したあとについて行くスタイルです。

そのため、エントリーはICTより遅くなるものの、その代わりダマシを避けやすいというメリットがあります。

トレードスタイルも対照的

両者のスタイルの違いもあります。

ICT派は1分足を使い、30分以内で取引を終えることがほとんどです。

FVGやLiquidity Sweepを利用して非常に小さな損切りで入り、大きな利益を狙います。

一方Paul氏は価格帯だけを決め、アラートを設定したらチャートを閉じます。

価格が来るまで何時間でも、時には何日でも待ちます。保有時間は長くなりますが、精神的な負担は少ないと語っています。

意外だった共通点

議論を聞いていて最も印象的だったのは、お互い市場の考え方は正反対なのに、トレーダーとして大切にしていることはほぼ同じだったことです。

両者とも共通していたのは、

  • 待つこと
  • FOMOにならないこと
  • 事前にシナリオを作ること
  • 感情でトレードしないこと
  • 負けは仕事の一部だと受け入れること

という考え方でした。

結局、どんな手法を使うにしても、勝ち続けるためには規律が最も重要だという点では完全に一致していました。

負けた時の対応も似ている

Humbled Traderは、「負けた日は終わり。勝った日も欲張らず終わり。」と話しています。

一方Paul氏も、「同じ場所で何度も負けるなら、その日は諦めて次のチャンスを待つ。」と説明しています。

どちらもリベンジトレードを絶対に避ける姿勢を徹底していました。

まとめ

この討論を見て感じたのは、「市場はアルゴリズムかどうか」という議論以上に、大切なのは自分が信じられるルールを持つことだということです。

ICT理論を信じる人もいれば、Paul氏のように市場を予測しないスタイルで勝ち続ける人もいます。

正解は1つではありません。

しかし、どちらにも共通していたのは、「待つ」「ルールを守る」「感情を排除する」という基本を徹底していることでした。

手法は違っても、勝っているトレーダーの本質は驚くほど似ている――それが今回の討論から得られた最大の学びではないでしょうか。

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