トレーディングエッジ入門
マネーマネジメントと逆張りの書。ボー・ヨーダーの『トレーディングエッジ入門―利益を増やしてドローダウンを減らす方法』。
著者は、株式、先物、FX、どんな市場でも利益を上げる法則を提示しています。それは本の内容紹介欄の文脈から読み取れます。
- エッジ(優位性)がなければ、トレーディングはそのコストによって長期的には損失になる。
- トレーディングのエッジを獲得するためには、マーケットのなかで統計的に優位な「何か」を探さなければならない。
- 最高のエッジは、トレーダー心理が引き起こすマーケットの転換期に現れる。
つまり、逆張りですね。
この統計的に優位な「何か」を見つけられないままトレードに挑めば、時間の経過とともに資産が減少の一途をたどることになります。
逆にそれを見つけてトレードできたなら、その優位性がマーケットに存在し有効である限り、一貫して利益を上げることができるでしょう。
勝率の高い手法は、一般的に利益率が悪く、利益率の高い手法は、勝率が悪いのが普通です。結局トレーディングは確率のゲームでしかなく、ただそれを「高勝率」と誤認しているトレーダーが多い、ということを著者は言いたいのだと感じました。
基本的にコントラリアンでトレーディングの確率的な側面に興味がある方、今後スキャルピングだけでなく、もっと時間軸の長いトレードを考えている方に特におすすめ。
欲望と幻想の市場―伝説の投機王リバモア
『欲望と幻想の市場―伝説の投機王リバモア』は、ギャン、ソロスと並ぶ偉大な投機家ジェシー・リバモアについて書かれた本。マーケットの魔術師に登場する多くのトレーダーに支持されている一冊で、トレーダーが直面するあらゆる困難や葛藤、情的な側面を見事に描き切った名作です。
リバモアはピラミッティング(増し玉)を得意とし、昔からある有名な格言「損切りは素早く、利食いはゆっくり」を実践していた人物のようです。トレーダーとしては、リバモアの損切りの早さはもちろん、良いポジションを長く維持するコツを学びたいところです。
本の中で何度か出てくる「最弱抵抗線」という概念、その文脈の周辺ををじっくり読み込んでみてください。スキャルピングに役立つだけでなく、将来的にもっと時間軸の長いトレード形態(スイングトレード、長期投資)に移行したときに役立つかもしれません。
この本はリバモアの波乱万丈の投機人生を追体験できる貴重な書であり、数ある相場本の中でも不朽の名作といえると思います。
世紀の相場師ジェシー・リバモア
「伝説の投機王」リバモアについての本はいくつかあり、上項で『欲望と幻想の市場―伝説の投機王リバモア』を紹介していましたが、『世紀の相場師ジェシー・リバモア』は、その本を上回るほどの読み応えがあります。
リバモアの私生活について多くを描いていますが、現代の相場にも充分通用するほどの相場理論、リバモアの相場に対する考え方、感じ方に強く共感できるということは、相場に関わる人間の心理は不変だということなのでしょう。
トレーディングで生計を立てようと考えている方には必読の書だと思います。どんな状況にあっても諦めない心構えが身につく名著。
罫線売買航海術
『罫線売買航海術―スキャルピングからポジショントレードまでの攻略テクニック』は、『デイトレード』のオリバー・ペレスとポール・ラングの共著。
前作が心理面に焦点を当てて書かれたのに対し、今作は具体的なトレード手法が豊富に紹介されています。
チャート図解が多いため、個別株のみならず日経225先物をトレードされる方にも参考になると思います。
デイトレードでも触れられたリバーサルタイム(直近のトレンドが停止したり、株価が反転する1日の時間帯)の売買方法や、レラティブストレングス(市場平均やセクター指数などと比較した株価の基調の強弱)についての項目は示唆に富んでいます。
20日・200日移動平均線を使った、想像以上にシンプルな売買ルール、日足チャートでのスイングトレードを念頭に置いた<プリスティーンの買いセットアップ>等、非常に具体的なテクニックが豊富なチャート例とともに解説されています。
ロンドンFX物語
『ロンドンFX物語――部外者立ち入り禁止のディーリングルームから』は、外為市場の内幕が垣間見える貴重な書。「テムズの取引所」と呼ばれる世界的トップバンクのディーリングルームに在籍した著者(柳基善(ユウキソン))が、FX市場の舞台裏を分かりやすく紹介してくれます。
私はこの本を読んで、外為市場の仕組みについて今まで分からなかった疑問が解消された部分がありました。FX専業トレーダーとして稼ぎたい方におすすめの本ですが、なにより単純に相場読み物として愉しめます。