ランダムウォーク理論をご存じでしょうか?
ダウ理論とは違って、ランダムウォーク理論はトレーダーからはあまり支持されてはいませんが、経済学の方では今でも熱く支持されている理論です。
と言うよりは、ランダムウォーク理論はアカデミックな世界で、相場に関する様々な考えの前提として捉えられています。
ランダムウォーク理論に関する知識は、日々のトレードを行う上では直接的には関係のない理論といえるかもしれませんが、相場で戦う者として知っておいて損はないと思います。
今回はランダムウォーク理論のご紹介と、トレーダーがそれとどう付き合っていくべきかについて解説します。
Contents
ランダムウォーク理論とは
ランダムウォーク理論とは、フランスのルイ・バシュリエが最初に提唱したもので、「相場の変動はブラウン運動と同じくランダムである」という理論です。
簡単に言えば、相場の動きは全てランダムであり予測することはできないという考え方です。
つまり、ダブルトップ、ダブルボトムなどに代表される反転パターン、グランビルの法則、ダウ理論などの規則性や意味があるように見える相場の動きも、実際は何の意味もないランダムな動きに過ぎないということになります。
トレードは、チャートを見て優位性のあるところでエントリーすれば勝てる!と思っているトレーダーにとっては、その考え方を根底から否定する理論です。
ちなみに私はランダムウォーク理論を始めて知ったときは、かなりショックを受けました。
もしかして自分が勝てないのは市場がランダムだから?と、勝てない自分をランダムウォークのせいにしたりもしました。
現実にはそういうわけではなないのですが・・・。
ランダムウォーク理論への反論
ランダムウォーク理論が成立するためには3つの前提条件が必要となります。
- 情報コストがゼロであること
- 取引のコストがゼロであること、
- 全ての投資家が合理的に行動すること
これらの前提は実際のマーケットには当てはまらないとする反論もあります。
その反論に対する反論もあり、正確な結論については現在も出ていません。
情報コストや取引コストはインターネットのおかげで限りなく低くなってきているのは事実です。
また、投資家の動きについては、個人個人は合理的出なかったとしても、それらをまとめて平均化すると、ある程度合理的な動きをしている・・・という意見もあるのです。
ランダムウォーク理論が正しいとするならば・・・
投資はギャンブルと同じということですね。
これがどういう意味をもつのか、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
ファンダメンタルズ分析・テクニカル分析は通用しない
国際情勢や経済・企業に関する情報を収集分析し、今後の相場の動きを予測したとしても、それらの情報が相場を動かすわけではないので、その行動は時間の無駄となります。
また過去の動きを分析し、未来の動きを予測することも意味がありません。
未来の相場の動きは過去の動きとは無関係で独立したものであるためです。
すなわち、規則性があるように思えるチャートパターンも偶然の産物に過ぎないということです。
それでも優秀な投資家は生まれるが・・・
ランダムウォークが正しかったとしても、勝率が高い優秀な投資家やトレーダーは出てきます。
しかしながらそれは偶然の産物であり、努力や豊富な経験などは関係ありません。
10万人のじゃんけんの勝者です。
しかし、彼のじゃんけんの実力に運が無いと言えるでしょうか?
トレードを行っている方であれば誰であっても、ベテランでも初心者でも、無知の人でも勉強家でも、皆同じ確率で凄腕トレーダーになり得るということになります。
そう、運さえよければ・・・・。
ビットコインバブルのように、初心者が大儲けできるときもあるものの、長期にわたって利益を出し続ける人は、やはり高い知性と技術を持っているのは間違いありません。
ランダムウォーク理論を信じるべきか?
ランダムウォーク理論が正しいのか否かについての結論は出ていません。
私個人の意見を言わせてもらえば、ランダムウォーク理論は信じていません。
いや、信じたくないというのが正直なところですし、トレーダーの方なら同意してくれると思います。
信じてしまえば今まで勉強・経験してきたことはすべて無駄ということになってしまいますしね。
世界にはウォーレン・バフェットやジョージ・ソロスといった有名な凄腕投資家がいます。日本にもBNF、CISなどの個人で数百億円以上を運用するトレーダーがいます。
彼らは偶然の産物として生まれ、勝ち続けてきたのでしょうか?
いえ、そんなことはありません。
彼らに共通していることは、相場と向き合い色々な経験をし、努力し、決して諦めずに今の地位を築いたということです。
ランダムウォーク理論が正しいのであれば、凄腕トレーダーのうち一定の割合で、無知で何の勉強もせずに勝ち続けている人がいるはずです。このことからも、ランダムウォーク理論が正しいとは断言できないと思います。
確かに相場はランダムとしか説明できない動きをすることが多いと思います。
しかし、それを踏まえた上で相場と向き合い、強いトレンドなどのランダムとは思えない動きをしっかりとらえて行くことが出来れば、偶然の産物ではない勝てるトレーダーになれるのではないかと考えています。
特にランダムではないときの動き
では最後に、明らかにランダムではないと言える相場の動きの3つをご紹介します。
- 指標発表時
- レンジからのブレイクアウト
- サポレジラインからの反発
指標発表時
指標発表時の動きがランダムではないというのは誰もが理解できると思います。
そもそも市場を動かすのは市場参加者です。
指標、特にサプライズのあった指標であれば、多くの市場参加者が急にポジションを取ったり手仕舞ったりして大きな動きをする事があります。
こうなると、明らかにそれまでとは違った動きになります。
もし相場がランダムであれば、このような突発的な動きはありませんし、特定の時間に一気に動くこともないでしょう。
レンジからのブレイクアウト
レンジからのブレイクアウトも本当にランダムでは見られない動きです。
レンジ相場が続くと、その上限や下限に沢山のポジションが溜まります。
ここを何らかのきっかけで大きな資金が入ってくると、一気に注文が約定してレートが動きます。
このような動きも、市場がランダムであればありえません。
サポレジラインからの反発
目立ったサポレジラインからの反発もランダムではありません。
サポレジラインは、その付近にエントリーの注文や損切りの注文が入っています。
この価格帯の近くに来ると、レートは高い確率で反発します。
特に歴史的な高値安値やゼロが4つ付くクワドラプルゼロのレートは特に意識されるため、とりあえず反発すると考えて良いでしょう。
ランダムでは無いところで戦っていこう!
以上、ランダムウォーク理論と市場がランダムでは無いときの動きの解説でした。
市場はある程度ランダムです。
ですから、完全に予測する事はできませんが、ランダムになりにくいポイントで勝負を仕掛けていけば、優位性が得られる事は間違いありません。
相場は常に合理的なわけがありません。
そうでない時を狙えば、相場からお金を引き出せるのです!