前回の一流投資家への成功哲学では、
- 損失は投資の庭に咲く雑草
- 損失は投資計画上の必要経費
- 雑草を駆除できないのは教育の影響
- 損得と善悪は別次元
- 癖を矯正するのバーチャルでの猛練習とトレード計画書の作成にある
と解説しました。
まだご覧になっていない方は以下よりご覧ください。
上記のポイントを抑えれば、「損失早期駆除」のスタイル基盤がようやく確立します。
つまり、自分でたてた計画をその計画通りに実行できる自己規律というべきルールが自己内部に出来上がるのです。そして、これを克服できたら投資の世界にそびえ立つ峠を越えつつある状況と言っていいでしょう。
「損失」のテーマがクリアーしたら、いよいよ次は「利益」のテーマです。
まだ終わりではありません。
Contents
「勝ちトレード」を捕らえたら、「最大の利幅」を想像し、「早期利獲の誘惑」に勝て
含み益が出てきたら、すぐに利益確定して安心したくなる・・・というのは誰にでも当てはまります。
しかし、これも「損失」のテーマで学んだように、過去の教育からくる正しさを確実にものにしたいという傾向とすべてを善悪で判断してしまう心が大きな要因です。
つまり、利益は善であり、早くに確実にものにしたいとい早期利益確定の誘惑にかられるわけです。このパターンで投資を続ける限り、一流への道は歩めません。
たとえ全トレードが1勝9敗でもトータルで勝つ「勝ち幅」を想像することも大事
投資で一流になる人は、自分のトレードシステムの勝率が今までより悪くなったとして、最悪の低勝率になったとしても(極端に言えば1勝9敗でも)利益を残すトレードをする人です。
これについては、松田哲氏の「FXで稼ぐ人はなぜ1勝9敗でも勝つのか?」という本にトレードの勝ち方について解説してありました。
そのひとつの例として、全10回のトレード中9回が負けトレードで毎回の30PIPSの損失を同じ通貨量のトレードで繰り返した場合でも、残り1回のトレードで500PIPSの利益が取れる勝ちトレードができれば、トータルでプラスになる、という解説がありました。
上記のトレードの場合、具体的にどのようにポジションをとるかは別にして、勝ちトレードへの考え方は、このようにトータルで考える必要性は分かる事でしょう。
「損失」が織り込み済みであるならば、「大幅な利益」トレードも織り込み済みでなければいけないのです。
「損失」テーマで、「損失」は投資計画上の必要経費であり、計画には織り込み済みでなければならないと書きました。
そうであれば、論理的に「利益」も大幅な利益を目指すべきだ、ということになります。
どう転んでも、どんな予想外のアクシデントがあったとしても、一定の期間内では必ずプラスになる事を目標とすべきです。そのためには「勝ちトレード」で大きく利益を伸ばそうとする傾向を形成する必要があります。
「損失」に対する考え方と「勝ちトレード」への考え方を学んだら、次のステップとして大事なことは、「期待値」という武器の使い方を知ることにあります。
いかに、この「期待値」の本質を知り尽くし、自分用に応用できるかが、その人のトレードの未来を決定します。つまり、一回一回のトレードの勝敗にこだわるのではなく、トータルの勝負で勝つ考え方です。
これは、一個の大将から一軍の軍師として、または責任ある大投資家として、トレードをする姿勢に変わってくることを意味します。
期待値のあるトレード、これが全て
「損失」に対する考え方と「勝ちトレード」への考え方を学んだら、次のステップとして大事なことは、「期待値」という武器の使い方を知ることにあります。
いかに、この「期待値」の本質を知り尽くし、自分用に応用できるかが、その人のトレードの未来を決定します。つまり、一回一回のトレードの勝敗にこだわるのではなく、トータルの勝負で勝つ考え方です。
これは、一個の大将から一軍の軍師として、または責任ある大投資家として、トレードをする姿勢に変わってくることを意味します。
常に「高利益率」を狙うべきであり、「高勝率」が大事なのではない
長期的スパンで今のトレードを考えるべきであり、その際「勝率」という確率にとらわれるのではなく、「利益」にこだわらなければいけません。
そして、利益=勝率ではありません。
この点を勘違いしては一流にはなれません。
「利益率」にこだわるためには、「期待値」の考え方を深く知る必要がある
利益を知るためには、最低限知るべき必要情報が4つあります。
A:勝つ確率は何%か
B:勝った時いくらの利益額になるのか
C:負ける確率は何%なのか
D:負けた時いくらの損失額になるのか
この4つこそが、期待値算出の基礎情報となります。
「期待値」を習熟するには、あらゆるケースで「期待値」をはじき出すしかない
上記の数値を使って、一定期間あたりの平均支払い額を算出する公式は次の通りです。
(A*B)+(C*-D)
例えば、以下のようなトレードシステムがあったとします。
(※仮に、その際、ドル円で100万通貨のポジションをもってトレードしているとする。)
一ヶ月間、90%の確率(勝率)で、毎回10PIPS(10万円)の利益は確実に見込めるトレードシステムで、ただ残り10%の確率(負け率)75PIPS(75万円)の損失が出る可能性があるシステムだとする。
このシステムの一ヶ月の平均利益額は次のような計算式になります。
(90%*10万円)+(10%*-75万円)=9万円ー7.5万円=1.5万円
つまり、このトレードシステムは一ヶ月で1.5万円の利益が見込める、ということになります。
このような計算を通じて、だんだんトレードにおけるリスクとリターンの関係が分かってくる。
「期待値」を知るには、「勝率」と「平均利益」と「平均損失」の3つが分かればいい
期待値は、過去の個別トレード毎のデータがなくても、全体を統合した結果か、もしくは予想値があれば計算でます。
予想値とは、平均利益と平均損失になります。
その際の期待値の計算の仕方は以下の通りです。
期待値=(勝率*平均利益のR)-(負け率*平均損失のR)
例えば、上記のトレードシステムでは、勝率90%、平均利益のRは、9万/7.5万=1.2なので、1.2Rになるりますので、計算は以下の通りです。
期待値=(90%*1.2R勝ちトレード)-(10%*1R負けトレード)=1.08-0.1=0.98
つまり、このトレードシステムの場合、1トレードあたりリスク額の0.98倍の利益を期待できるということになります。
これは言い換えると、1万円のリスク額に対して、平均0.98万円のリターンと元手の1万円が期待できるということです。つまり、100万円のトレードをした場合、結果が198万円になることが期待できる優秀なシステムだということです。
期待値とは、トレードで通貨を買うために投資したリスク額に対して、平均でどれだけの利益が期待できるかを示す計算式です。
実は、一流の投資家はFXのみならず、株式や先物、オプション、不動産、各種投資、等あらゆる投資を期待値というモノサシを使って測定しているのです。
この期待値の概念を理解すればするほど、トータルで負けない投資家になる事が出来たでしょうか?