国内のFX業者の売りといえば、超低スプレッドです。
ドル円のスプレッドが0.3など、場合によってはインターバンク市場のスプレッドよりも狭かったりします。ですから、インターバンク直結の海外FX業者にはこのような低スプレッドはマネできません。
さらには業者によっては取引量によって食品を送ってくれたり、ポイントをくれたり、著名アナリストの相場に関する見解も教えてくれたりするのですが、これらのお金はどこから来ているのでしょうか?
それはもちろん我々の取引からです。
国内のFX業者は非常に低スプレッドながらも、そこから多くの収益を出しているのです。
では、国内FX業者のビジネスモデルとは一体どんなモノなのでしょうか?
今回は国内FX業者がどうやって利益を出しているのかについて解説します。
国内FX業者の多くが相対取引方式
国内FX業者の多くが相対取引方式という形体でFX取引をしています。
これは、我々トレーダーFX業者がと1対1で取引をすることを意味します。
株式取引のように、トレーダーと証券取引所の間に証券会社が入り込む・・・という図式ではありません。
相対取引の業者は複数の大手銀行と提携してインターバンクのレートを受け取ります。
そのレートを参考にしつつスプレッド分も加味して、我々トレーダーに価格レートを提示します。
そのため、業者によって提示する価格レートには小さいながらも差異がありますし、レートが切り替わるタイミングも微妙に違ったりします。これは、スーパーに売っている野菜が店によって値段が違うのと同じです。
業者によってレートが違うのはこういったことが要因です。
そのため、必然的にスプレッドは変動制となっています。
FX業者の様々な取引方式については以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
相対業者の儲け方
相対取引がメインの国内FX業者の収益は大きく3つあります。
- 呑み
- マリー
- スワップ
これらについて詳しく解説していきます。
呑み
よく顧客の注文を「呑んでいる」といった言い方をします。
「呑み行為」とはトレーダーからの注文をインターバンクに流さずに(カバー注文を入れずに)、FX業者がそのリスクを取る事です。
XMのようにしっかりと顧客の注文をインターバンクに流す場合は、XMのポジションは常にニュートラルです。
しかし、呑みをする業者は、顧客の注文をインターバンクに流さないので、FX業者自体もポジションを取っていることになるのです。
なぜこんなリスクを取る事をするのかというと、「基本的に顧客は負けるから」です。
実際、トレーダーの8割以上は負けているという事実があります。
そうであるならば、FX業者はインターバンクに注文を流さずにリスクをとっても、顧客が負けてくれるので利益が出せるのです。
呑み行為についてさらに言ってしまうと
- 顧客の利益はFX業者の損失
- 顧客の損失はFX業者の利益
という式が成り立ってしまいます。
つまり、呑み行為をするFX業者にとって、勝ち組トレーダーは邪魔な存在でしかないのです。
大手国内FX業者では、定期的に顧客のFX口座を凍結して、そのたびにTwitterで大騒ぎになっていますが、実はこれは勝ち組トレーダーを排除しているのです。
マリー
マリーとは、顧客同士の注文をぶつけ合うことです。
マッチングとも呼ばれます。
例えば、FX業者のところに、ほぼ同じタイミングでドル円10ロットの買い注文と売り注文が来たとします。
この二つの注文をインターバンクに流すと、FX業者側にも手数料がかかってしまいます。しかし、これらの注文を相殺したらどうでしょう?
つまり、顧客の買い注文と、他の顧客の売り注文をぶつけ合うわけです。
するとFX業者のポジションはニュートラルになるだけではなく、両方の注文のスプレッド分が丸々収益となります。つまり、無リスクでスプレッド分を稼げてしまうのがマリーです。
スプレッド分だけが利益?と思うかもしれませんが、マリーはFX業者にとっては無リスクで得られる重要な収入源です。取引量が多ければ多いほど収益も上がります。
ですらFX業者はトレーダーに出来るだけ沢山取引してもらおうと食品を配ったりするわけですね。
スワップ
デイトレやスキャル派の人はあまり気にしたことがないかも知れませんが、買いスワップと売りスワップの差もFX業者にとっては大切な収益源です。
上の表は、ある日のマネーパートナーズのスワップポイント表です。
どの通貨ペアであっても、買いスワップポイントよりも売りスワップポイントの方が数字の絶対値が大きいです。通常は、買いスワップも売りスワップも値は一緒になるのですが、FX業者は買いスワップ分を少なく支払うことで、収益を出しているのです。
相場急変時のストップ狩り
スイスフランショックや2019年1月3日に発生したフラッシュクラッシュのような、相場が急変した時は、国内業者にとっては最も美味しいチャンスとなります。
過去には、相場急変にかこつけて以下のような現象が見られました。
- 異様にスプレッドを広げる(数十~百数十pips)
- 実際のインターバンクレートとは大きく乖離したレートを提示する
- レート配信をいきなり停止する
どれもFX業者の信用を損なうものですが、多くの国内業者でこのような行為が見られました。
特に酷かったのが2019年1月3日のフラッシュクラッシュ時のヒロセ通商。
この時のヒロセ通商はストップ狩りと言われても仕方がない動きをしていました。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
これが後に「ヒロセリスク」と言われる所以です。
この時はヒロセばかりが注目されましたが、他の業者もあり得ない程にスプレッドが開いていました。
GMOクリック証券のビジネスモデル
では最後にGMOクリック証券のFXのビジネスモデルを見てみましょう。
データはコチラより
上の図より以下のことが読み取れます。
- 基本は売りと買いをマッチング(マリー)させる。
- FX業者自体もある程度リスクを取って(呑んで)いくが、注文に大きな偏りが生じた場合は提携している銀行にカバー注文を入れる。
GMOの場合は、これをほぼ自動でやっているようです。
10年以上前はFX業者にはディーラーがいて、彼らがリスクの状況を把握しながら一部をカバーしていたものですが、時代は変わったものです。
まとめ
国内FX業者のビジネスモデルについての解説でした。
国内業者にとっては、マリーと呑みが大きな収益源になっています。
このおかげで低スプレッドを享受できるのは間違いありませんが、「顧客の利益が業者の損失」になっている点も否めません。
国内FX業者を利用される方は、この辺も理解された上でトレードするべきだと思います。
国内FXと海外FXの違いは以下をご覧ください。