RCIとは、順位相関指数とも訳されるオシレーター系のインジケーターです。
MT4にはじめから搭載されているインジケーターではありませんが、それでも多くのFXトレーダーが使用しています。
RCIは、レンジ相場で優位性の高い分析が行えるオシレーターの一面を持ちつつも、トレンド相場での環境認識やエントリータイミングを見つけるのにも役立つ便利なテクニカル指標です。
ただ、シンプルがゆえに少し工夫した使い方をしないと根拠として弱いので、RCIを避けている方、これまでにRCIを使ったことはあるけど、外した方もいるのではないでしょうか。
この記事ではRCIの見方や使い方、計算方法、MT4の設定方法、トレード手法、利用時の注意点をわかりやすく解説します。
Contents
RCIの基本について解説
RCI(Rank Correlation Index)は、日本語で「順位相関指数」という意味のオシレーター系のテクニカル指標です。
そもそも、オシレーターとは「振り幅」の意味で、一般的には「上昇局面の買われ過ぎ」、「下降局面での売られ過ぎ」を示すことに特化したものになります。
一般的なオシレーターでは、価格の上昇・下落率や上下の変動幅を用いて計算されています。
しかし、RCIは価格そのものではなく時間と価格に順位をつけて、両者の相関関係を元に計算します。
そのため、相場の転換点を見極めて逆張りとして使うこと以外に、トレンド系の性質も持っているため、順張りとしても使用できるのがRCIの大きな特徴です。
RSIとRCIの違いについて
RCIと似たインジケーターとしてRSIが挙げられます。
同じオシレーターで名前も似ていますが、計算方法や挙動は全く血ます。
RCIとRSIの違いを簡単に説明すると下記の通りです。
- RCI:n期間において、直近の価格は何番目の強さ・影響力があるのかを示す
- RSI:n期間において、上昇と下落、どれだけ比率に差が生まれたのかを示す
RSIは、期間内の上昇幅と下落幅の比率から、相場の過熱感を示すのに対し、RCIは何番目に強かったのかという順位に着目しています。
正しく相場の過熱感を把握したいならRSIの方が優秀です。
しかし、RSIはレンジ相場で力を発揮するものの、トレンド相場ではあまり有効ではないというデメリットもあります。
対して、RCIはRSIほど正しい過熱感を分析することはできませんが、レンジ相場、トレンド相場どちらにも対応できるというメリットがあります。
RCIの計算方法
ここでは、RCIの計算方法についてご紹介します。
計算方法を暗記する必要はありませんが、どんな計算式でRCIが成り立っているのかを理解すると、分析のときに役立ちます。
RCIの計算方法は下記の通りです。
d = 日付の順位と価格の順位の差を2乗し、合計した数値
n = 任意の期間
- 日付の順位:当日を1として、遡りながら2,3,4・・と順位をつける
- 価格の順位:期間中の最高値を1として、高い順に2,3,4・・と順位をつける
RCIが0%を上回っているときは上昇局面にあり、RCIが0%を下回っているときは下降局面にあると判断します。
RCIの見方・使い方について解説
RCIは±100%の間で推移するテクニカル指標です。
トレーダーがRCIを使う上で意識するポイントは、RCIの0%、+80%、-80%のラインです。
ときにはトレンドの方向性を予測して順張り、ときには売られすぎ・買われすぎを察知して逆張りで使うなど、豊富な使い方ができます。
- RCIの0%ラインでトレンドの把握
- RCIの±80%のラインでトレンド転換
- 長期RCIと短期RCIのクロスによる売買シグナル
以上、3つの基本的な見方・使い方について詳しく見ていきましょう。
RCIの0%ラインでトレンドの把握
まず、RCIの0%ラインを使うことで、トレンド方向の把握ができます。
具体的には下記のような判断をします。
- RCIが0%を上に抜ける:上昇トレンドを示唆
- RCIが0%を下に抜ける:下降トレンドを示唆
ただし、この方法は短期的な時間足では信頼性に欠けるため、トレードの判断としては使用しません。
4時間足や日足でどちらの方向に動きやすいか、把握するために使用します。
RCIの±80%のラインでトレンド転換
RCIでは、RSIやストキャスティクスのように買われすぎ・売られすぎを判断して、トレンドの転換を狙う分析も可能です。
トレンド転換を見極めるためには±80%のラインがポイントになります。
具体的には下記のような判断をします。
- RCIが+80%を上回る:売りシグナル(買われすぎ)
- RCIが-80%を下回る:買いシグナル(売られすぎ)
RCIの±80%を超える相場は、かなり加熱している状態なので、反発確率も高まります。
長期RCIと短期RCIのクロスによる売買シグナル
RCIはもともと1本で使うことを前提に開発されたテクニカル指標ですが、多くの投資家は2本以上で使用しています。
一般的には、長期RCIと短期RCIの2本の位置関係からトレードの判断をします。
- 短期RCIが長期RCIを下から上に抜ける:買いシグナル
- 短期RCIが長期RCIを上から下に抜ける:売りシグナル
移動平均線のゴールデンクロス・デッドクロスのような使い方です。
ただクロスするだけでなく、RCIが-100%付近で買いシグナル、RCIが+100%付近で売りシグナルが発生すると、根拠としてはかなり強い傾向にあります。
ゴールデンクロス・デッドクロスとは?活用したトレード手法やダマシへの対処法を解説
MT4でRCIを表示する方法
MT4には最初からRCIは入っていませんので、カスタムインジケーターを入れる必要があります。
私のオススメのRCIを表示するインジケーターは以下のサイトからダウンロードしてください。
RCIを用いたトレード手法
ここでは、RCを利用したトレード手法をご紹介します。
繰り返しになりますが、RCIはオシレーター系のテクニカル指標を持ちながら、トレンドでの順張りにも対応できる便利な指標です。
今回紹介するトレード手法は下記の3つです。
- RCIとRSIのオシレーター同士を組み合わせた逆張り手法
- RCIと移動平均線を組み合わせた手法
- 3本のRCIと3本の移動平均線を組み合わせた手法
それでは1つずつ詳しく見ていきましょう。
RCIとRSIのオシレーター同士を組み合わせた逆張り手法
まずは、RCIとRSIのオシレーター同士を組み合わせた逆張り手法をご紹介します。
どちらもオシレーター系のテクニカル指標なので、使い方も簡単です。
オシレーターの特徴である売られすぎ・買われすぎを判断して、逆張りを行います。
FX初心者でも再現できる手法なので、分析が苦手な方や順張りが苦手な方はこの手法を試してみてください。
- RCIが-80%を下回り、RSIが30%に到達したら買いエントリー
- RCIが+80%を上回り、RSIが70%に到達したら売りエントリー
RCIは-80%以下で売られすぎ水準、RSIは73%以下が売られすぎ水準なので、どちらの条件も満たしたら買いエントリーをします。
RCIは+80%以上で買われすぎ水準、RSIは70%以上が買われすぎ水準なので、どちらの条件を満たしたら売りエントリーをします。
1つのテクニカル指標だけで、買われすぎ・売られすぎを判断すると、根拠が物足りないので、2つのテクニカル指標を組み合わせます。
RCIと移動平均線を組み合わせた手法
次は、RCIと移動平均線を組み合わせた順張り手法です。
先程の手法よりは少し複雑ですが、トレンド相場で有効な手法なので、ぜひチャレンジしてみてください。
まずRCIは期間14で設定します。
移動平均線は長期的なトレンドを把握するために使用するので、期間は200にします。
- 現在足が長期移動平均線よりも上を推移し、短期RCIが-80%以下で買いエントリー
- 現在足が長期移動平均線よりも下を推移し、短期RCIが+80%以上で売りエントリー
長期移動平均線は長期的なトレンドを示し、移動平均線よりも上を推移していれば、上昇トレンドと定義します。
一方で、移動平均線よりも下を推移していれば、下降トレンドと定義します。
その中で、短期RCIが-80%を下回ったときに買いエントリーをし、短期RCIが+80%を上回ったときに売りエントリーをします。
この手法は一見逆張り手法に見えますが、長期的に見ればトレンドに沿った順張りトレードをしているというわけです。
3本のRCIと3本の移動平均線を組み合わせた手法
最後に3本のRCIと3本の移動平均線を組み合わせた手法をご紹介します。
RCIと移動平均線の設定ですが、それぞれ以下のように設定してください。
- 短期:9
- 中期:26
- 長期:52
使用するテクニカル指標が多いので、少し上級者向けです。
RCIの扱いに慣れてきたら、この手法を試してみてください。
- 3本の移動平均線のパーフェクトオーダー(上昇)を確認し、中長期のRCIが0%以上、短期RCIが-80%を下回ったら買いエントリー
- 3本の移動平均線のパーフェクトオーダー(下降)を確認し、中長期のRCIが0%以下、短期RCIが+80%を上回ったら売りエントリー
移動平均線のパーフェクトオーダーはトレンドを示す指標の中でも、最も強いサインです。
パーフェクトオーダーと中長期のRCIで上昇トレンドであることをしっかり確認した上で、短期RCIが売られすぎ水準になれば、有利なポジションでトレードができます。
こちらも先程の手法同様、短期RCIを使った逆張りに見えますが、トレンド方向に沿ったトレードなので、順張り手法となります。
この手法を更に昇華してGMMAとRCIを組み合わせた手法を解説しているサイトもあります。
RCI利用時の注意点
RCIはトレンドの把握や転換点の把握に便利なテクニカル指標ですが、注意点もあります。
RCIを利用する際は、以下の2点に注意してください。
- 1本のRCIでは優位性が低いので複数のRCIを利用する
- 他のテクニカル指標と組み合わせて利用する
1つずつ詳しく見ていきましょう。
1本のRCIでは優位性が低いので複数のRCIを利用する
RCIはFXトレーダーにも人気があるテクニカル指標ですが、1本のRCIを単体で利用しても取引の優位性は高くありません。
相場の環境認識としては有効的ですが、1本のRCIだけを見てトレードを行うのは危険です。
上昇トレンドが強い場面で短期RCIだけを使い「買われすぎ水準だからこの後下がることを予測して売り」と予測したのに、上昇トレンドを継続することも多々あります。
そんなときに長期RCIを併用すれば、長期的なトレンドを正しく判断できます。
複数のRCIを利用して、その位置関係やクロスしたことを確認することで、はじめて優位性が高い取引ができるのです。
他のテクニカル指標と組み合わせて利用する
テクニカル分析をしていると、売買シグナル通りに動かない「だまし」が発生することもあります。
特にRCIを含むオシレーター系のテクニカル指標は、トレンド相場でのだましが度々発生します。
複数のRCIを併用することで、1本で使うよりはだましが回避できますが、あくまで同じテクニカル指標なので、回避するところにも限界があります。
だましを回避するためには、移動平均線やボリンジャーバンドなど、トレンド系のテクニカル指標と組み合わせるのがおすすめです。
移動平均線やボリンジャーバンドでトレンドの強さを把握すれば、だましを見抜きやすくなります。